「ツイッター(twitter)のつぶやき広告が禁止に!?」
(2010年)
2010年5月下旬、「ツイッター(twitter)のつぶやき広告が禁止に!?」というショッキングなニュースが流れた。国内外のインターネットは、一時この話題で騒然となった。
米ツイッター社
API
事の発端は米ツイッター社が2010年5月24日、公式ブログで自社が手がける以外の広告を禁止すると受け取れる宣言をしたこと。ツイッター社は併せてAPIと呼ぶツイッターとのシステム連携に必要な技術の利用規約を改訂した。
投稿(つぶやき)
ネットサービス
ツイッターは140文字以内で利用者の投稿(つぶやき)を受け付けるミニブログなどと呼ばれるネットサービス。今や1億人以上が閲覧するまでに成長した一大メディアによる突然の方針変更に、広告業界は混乱に陥った。
ネット広告代理店大手のオプト
システム修正を余儀なく
ネット広告代理店大手のオプトは2010年5月24日、ツイッターのつぶやきを利用する「つあど」と呼ぶ広告サービスを始めたばかりだった。広告を一般のツイッター利用者のつぶやきとして配信するものだ。
API利用規約
運営を継続
オプトは開発会社などとサービス存続を含めて議論を重ね2010年5月28日、改訂されたAPI利用規約に沿う形で運営を継続していくと発表した。追加でシステム修正を施すという。
イデアクロス
つぶやき広告サービス
広告ベンチャーのイデアクロスは2010年4月からつぶやき広告サービスを始めたばかりだった。予想以上に好評で、システムの機能を拡充するためサービスを止めている間の規約変更だった。中嶋公栄社長は「ツイッターへの確認が取れず、サービス再開は状況を見ながら検討するしかない」と困惑する。
デジタルガレージ
広告支援サービス
ツイッター社に出資しているデジタルガレージまで波紋は広がった。一部報道でツイッター社の広告支援サービスへの悪影響を指摘され「問題ないと確認が取れている」(広報)と火消しに追われた。
アド・リー
イゼア
海外でも情報が錯綜。つぶやき広告を手がける米アド・リーは「サービスに問題ない」という立場を貫く一方、米イゼアは広告出稿などのプロセスを変更するとしていた。ところがイゼアは数日後に「ツイッター社の開発者の確認が取れた」として変更の必要がないという主張に転じた。
サードパーティー
プロモーテッドツイート
なぜこうした混乱が起きたのか。ツイッター社の宣言は「ツイッターAPIを活用したいかなるサードパーティーであっても、タイムライン上にプロモーテッドツイート以外の広告を挿入することを禁止する」というものだ。
タイムライン
専門用語だらけで分かりにくいが、タイムラインはツイッターのつぶやきを表示する画面。APIは外部からツイッターのシステムを利用するための仕組みで、ネット広告をサーバーから送り込むのに利用は必須となる。「プロモーテッドツイート」はツイッター社による広告サービスだ。これだけ読めば、広告会社が自分たちの事業を否定されたと思うのも無理はない。
多くの解釈
混乱
ところが同時改訂された利用規約には、「(APIを使った)つぶやきを広告に使ってもよい」と書いてある。この分かりにくい状態が多くの解釈を生み、混乱を招いた。
規約変更の狙い
ツイッター閲覧ソフト
ツイッター社は規約変更の狙いを「長期的な利用者の経験を守るため」と説明する。例えばAPIを使えば、ツイッター閲覧ソフトを作って、あたかも広告をつぶやきのように見せかけて表示するものを作れる。こうしたモノを短期的に広告収益を上げるために使えば、利用者が不快な思いをして離れてしまう可能性もある。ツイッター社の真意はこうしたことを、先手を打って防ぐことにあったようだ。
広告業界
プラットフォームの理念
ツイッター社は収益化を目指して広告事業を始めたばかり。憶測を呼びやすい状況で丁寧な説明が求められた。一方、広告業界にもプラットフォームの理念を理解して事業運営する難しさが突きつけられている。